はじめに
こんにちは!6Gテック部のアーキテクチャ標準化を担当している山内です。同じく6Gテック部のNTN技術を担当している島村です。 本記事では2025年3月に開催された「MWC Barcelona 2025」についてご紹介します。
展示会概要
「MWC Barcelona 2025」は2025年3月3日~6日にスペインはバルセロナで開催されたモバイル関連の大規模な展示会です。世界各国の通信機器ベンダーや通信オペレータ、スマートフォンメーカーなどさまざまな企業が参加しました。
ドコモも出展しており、「NTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)/Aerospace(宇宙ビジネス)」・「Open RAN」・「エンターテイメント」の3つのテーマで、技術や取組みに関する展示を実施しました。また、ドコモブースだけではなく、ドコモとNTTが共同開発を行っているIn-Network Computing(以下INC)の技術も実証検証パートナーNokia社のブースで展示されました。
今回は6Gテック部が主に研究開発に携わっている、「NTN」と「INC」の展示・技術内容をご紹介します。
展示技術紹介
NTNの展示内容
NTNブースでは、NTTグループの宇宙ビジネスブランドである「NTT C89」の枠組みの一環として、HAPS(High-Altitude Platform Station)をはじめとしたNTNによるカバレッジ拡張技術について展示を行いました。

HAPSは、高度約20kmの成層圏でほぼ一定の場所を滞空して、地上の半径約50~100kmのエリアをカバーすることができます。GEO(Geostationary Earth Orbit)やLEO(Low Earth Orbit)などの人工衛星と比べてカバレッジは劣るものの、低遅延・高スループットなスマートフォンとの直接通信が期待できます。ドコモでは、GEO、LEOおよびHAPSそれぞれの特徴・利点を組み合わせたベストミックスによる「超カバレッジ拡張」の実現をめざしています。

MWCの展示に先立ちまして、HAPSの実証試験をケニアで実施しました。本試験についても、ブース内展示で説明を行いました。 www.docomo.ne.jp
さらにNTNの取組みの詳細にご興味がある方はNTN特設サイトをご覧ください! www.docomo.ne.jp
INCの技術内容
In-Network Computingは、ネットワークでサービスの計算処理を支援することで、ユーザー端末でのデータ処理負荷を軽減する技術です。INCの適用により、ウェアラブル端末のように機能を簡素化したデバイスでも、AIによる映像解析などの高度な処理を快適に体感できることを目的としています。

2024年度に実施した実証実験においては、ユーザーが必要なタイミングでオンデマンドにINCを提供するコンピューティングサービスの実現をめざし、CAMARA APIを用いたモバイルネットワークとコンピューティングリソースの一括制御の実験に成功しました。撮影した映像のAI解析を行うアプリケーションにこの制御に基づくINCを適用した結果、AIモデルの性能限界90%を達成可能であることを確認しました。
本実証は報道発表も実施しているのでご興味がある方はこちらもご覧ください。www.docomo.ne.jp
さらにINCの技術内容にご興味がある方は過去の記事もご覧ください! nttdocomo-developers.jp
展示会ハイライト
○NTN
ドコモブース内の最も目立つ位置にNTNブースが配置され、4日間通じて大変な盛況となりました。特に全長5mのHAPS模型(1/5スケール)を宙づりにした展示はお客さまから非常に好評でした! また、ケニア実証試験についても多くのお客さまから興味を持ってもらい、ドコモのHAPSに関する取組みをアピールすることができました。


○INC
今回の実証実験の内容は、実証実験のパートナー社であるNokia社のブースにて展示され、多くのお客さまにINCの取組みをご覧いただきました。



終わりに
島村:今回は初のMWC参加でしたが、世界中の企業に向けて直接ドコモの取組みをアピールできる貴重な機会だと感じました。一方でまだまだNTN・HAPSについてご存じでないお客さまも多く、これからも継続して発信を行っていく必要があると改めて感じました。今後もさまざまな機会でドコモの取組みを発信していきます!
山内:INCの取組みをMWCという世界最大規模のモバイル技術の展示会の中で展示することができ、大変うれしく思います。今後もINCの研究開発をさらに発展させ、お客さまに便利なサービスとしてお届けできるように継続して取り組んでいきます!