6Gアーキテクチャ標準化のRapporteurに任命されました
こんにちは、ドコモユーロ研のMalla(マラ)です。
2024年6月、プラハで開催された3GPP SA全体会合(SA#108)にて、「6Gシステムアーキテクチャに関するスタディ項目」が正式に承認されました。これは、次世代ネットワークの共通基盤を形づくるための国際的な取組みのスタート地点であり、業界としても大きな節目となる出来事でした。 そのなかで私自身、光栄にもこのスタディのPrimary Rapporteur(主査)に任命されることになりました。率直に言って、驚きとともに、身の引き締まるような気持ちです。この任命は私個人の取組みというより、DOCOMO Euro-Labsの仲間たちと一緒に積み重ねてきた信頼と努力の成果だと感じています。
Disclaimer: 6Gシステムアーキテクチャの検討は、世界中の幅広い関係者が参加する進行中の共同作業です。作業が進む中で、提案や優先事項は、新たに登場する技術、市場のニーズ、そしてコミュニティによる集団的な知見を反映して進化していく可能性があります。本投稿は2025年中頃時点の状況と見解を反映したものであり、将来の展開を予断するものではなく、あくまで情報提供を目的としています。

Rapporteurってどんな役割?
国際標準の世界では、Rapporteurというのは「企画立案から議論の推進、各国・各企業の意見調整までを担う責任者」のような役割です。 今回の6Gシステムアーキテクチャスタディでは、初期の技術的な議論をリードしながら、業界の多様なメンバーと協力して共通原則や方向性、サービス要件などを詰めていきます。単に技術に強いだけではなく、異なる意見や文化を受け入れてまとめていく「包容力」も問われるポジションだと思っています。先週スウェーデンで開催された3GPP SA2会合では、6G検討セッションの議長として、壇上から議論をリードしてきました。

個人的な想い
私は、標準化というものを「スペックをつくる作業」以上のものと捉えています。異なる立場の人たちがひとつの共通基盤を作り上げるには、時間も、対話も、相互理解も必要です。 だからこそ、このRapporteurという役割には強い責任感を持っています。SAおよびSA2のリーダーのみなさま、そして多くの3GPPメンバー企業の信頼に応えるべく、オープンで建設的な議論の場をつくっていきたいと考えています。
SA2という場が担う未来
私たちが主に活動しているSA2ワーキンググループは、モバイルネットワークの「システムアーキテクチャ」を担当しています。5Gではサービスベースドアーキテクチャ(SBA)を定義したように、6Gにおいても新たな技術要素とユースケースに基づいて、次世代の骨組みを形づくることになります。今年3月に福岡で開催されたSA2会合(#169)では、すでに初期ユースケースや技術トレンドの共有が始まっており、正式なスタディとしては2027年3月の完了をめざしています。
CEOからのメッセージ
私の上司である、ドコモ欧州研究所のCEO、田中威津馬さんから応援メッセージをいただきました。 「私たちはオープンで持続可能、かつ未来志向のネットワークを実現するために、国際標準化活動に積極的に取り組んでいます。研究者たちがその中心でリーダーシップを発揮してくれていることを、心から誇りに思います。6Gは単なる高性能化ではなく、社会に新たな価値を提供するための鍵です。Mallaがその中心で世界をとりまとめ、さまざまな分断を乗り越えて、未来の世界の在り方に大きなインパクトを出す仕事をしてくれる姿を頼もしくおもっています。」
なぜ6Gの標準化が重要なのか
いま、6Gを語るときに強く意識しているのは、以下の3つの観点です。
- 産業の変革を支える基盤: デジタルツイン、自律システム、AIネイティブなアプリケーション…。こうした次世代の産業ソリューションには、柔軟で拡張性の高いネットワークアーキテクチャが不可欠です。
- グローバルな連携: 6Gは「どの国でも、どの企業でも使える」ことが大前提。相互接続性、公平なアクセス、そしてグローバルな展開が実現されて初めて、真の価値が生まれます。
- 日本・アジアのリーダーシップ: 私のこの任命も、日本やアジアの立場から「オープンで未来志向な標準」を世界と共創していく意思の現れでもあります。
DOCOMO Euro-Labsの立ち位置
私たちDOCOMO Euro-Labsは、NTTドコモの欧州拠点として、研究と標準化をつなぐハブのような存在です。3GPPだけでなく、ETSI/NFVやO-RANといった他の標準団体にも深く関与し、業界全体の方向性に貢献しています。今回の6Gアーキテクチャ検討においても、各地域との協調や実証実験の支援、初期実装に向けた議論などを並行して進めていく予定です。
また、ドコモユーロ研ではYouTubeチャネルを運営しています。このチャンネルでは、通信の標準化と次世代ネットワーク技術に特化した研究拠点であるユーロ研が、5G、6G、Open RAN、そしてその先の世界的な標準化の取組みから最先端のユースケースまで、最新動向を読み解いていきます。解説ビデオ、インタビュー、舞台裏などを通して、複雑な通信トピックをよりわかりやすく、洞察に満ちた、そして少し楽しいものにすることをめざしています。技術ストラテジスト、研究者仲間、あるいはコネクティビティの未来に興味がある方など、どのような方にも最適です。明日のネットワークを形作るテクノロジーの探求にご利用ください。ぜひご覧いただき、登録高評価よろしくおねがいします!
最後に
この取組みは、今後数年にわたる長い旅になります。技術も、社会のニーズも変わる中で、柔軟に方向性を見直しながら、よりよい未来のネットワークを一緒に描いていけたらと思います。 この場を借りて、あらためて感謝を伝えたいです。任命の機会をくださった皆さん、一緒に議論してくれる仲間たち、そして読んでくださっているあなたにも。 標準化は一人ではできません。技術の知見だけでなく、信頼と対話を土台にした「共創のプロセス」です。その真ん中にいられることを誇りに思いながら、これからも丁寧に取り組んでいきます。 これからも、どうぞよろしくお願いします。
Malla Reddy Sama
Primary Rapporteur, 6G System Architecture Study
Head of the 3GPP SA Delegation
Manager, Core Network Group
DOCOMO Euro-Labs
※本項は、こちらの記事の邦訳です。(訳:田中威津馬)