はじめに
NTTドコモ サービスデザイン部の宇佐見 友理です。普段の業務では部内の開発業務・日常業務に対してAIをどう活用していくかの方針策定やAI推進の取り組みをしています。今回はどの業種限らず皆さんが苦労しているであろう"資料作成"の上長レビューにフォーカスを当ててプロンプトを作成し、社内のM365 Copilotのコンペで2位入賞しましたので、ご紹介できればと思います。コンペでは発表はオンライン、視聴はオフラインという形で開催され、視聴いただいている社員の皆様が興味のある発表についてスタンプを押して投票いただく形式でした。私の"資料作成"の上長レビューのプロンプトに多くの方がスタンプを押してくださり、生成AIを活用した"資料作成"への注目度の高さを実感しました。今回はレビューにフォーカスを当てましたが、"資料作成"自体の効率化もめざして引き続き邁進していこうと思います。
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アプローチ方針
現状資料作成の量やひとつひとつの資料作成にかかる時間が多い中、どう効率的にかつ簡単に生成AIを活用しようかと考えたときに、資料作成のプロセスを細分化し適用しやすいフェーズに対してまずは生成AIを適用していこうと思いました。それが"上長レビュー"のフェーズです。資料作成において共通の一般的な観点ではなく、自分の上長(部長、担当部長、担当課長どなたでも構いません)が特に気にしている観点や上長自身の性格を生成AIにインプットし作成した資料をレビューさせることで最終的に上長ナイズドした資料を作成でき、実際の上長とのレビュー回数やレビュー時間を削減できるのではないかと考えました。
現状作成したプロンプトはプロトタイプで未検証のため定量評価については想定の値にはなりますが、実際にプロンプトを利用してみてインプットした上長像に沿って生成AIがレビューをしてくれるので一定の効果は見込めそうです。

プロンプトのポイント
実際に作成したプロンプトのポイントを3点ご説明します。
1点目は冒頭の「各スライドごとにレビュー」「マークダウン形式で」の箇所です。こちらを記載することで、資料全体の総合的な評価ではなくスライドごとに評価してもらい、かつ構造化された形での回答を得ることができます。またこちらは将来的な実装にはなりますが、出力されたコメントを基に生成AIがスライドを修正・作成することを考えており、スライドごとの評価を生成AIが読み取りやすい構造化された形で出力を得ることで、生成AIがスライドを作成しやすくする意図もあります。
2点目は「##性格の特徴」の箇所です。こちらの箇所では上長の性格や資料作成においてよく気にしている観点を記載します。こちらを記載することで、上長が特に気にしている資料作成観点を重点的にレビューすることができます。
3点目は「##思考の癖」の箇所です。こちらの箇所は任意になりますが、上長の口癖があればその口癖とそれに付随する考え方を記載します。こちらを記載することで、2点目同様上長が無意識に特に気にしている資料作成観点を重点的にレビューすることができます。


まとめ
今回は"資料作成"における上長レビューにフォーカスを当てたプロンプトを説明しました。今後は資料修正自体も生成AIに対応させたり、最初の資料作成も生成AIに対応させたりして、そもそも人間による資料作成対応が不要になるビジョンをめざして生成AIを研究していきたいと思います。