- ■はじめに
- ① アジャイルとは何か ~アジャイル勉強会の内容から~
- ② CSPOで学んだアジャイルの理想とPOの役割
- ③ 自チームでのアジャイル実践
- ④ CSPOで学んだ進め方と自担当の進め方の比較と考察
- ⑤ まとめと今後の方向性
■はじめに
NTTドコモ情報システム部の前田と申します。私はドコモのエンドユーザー向けのサイトの画面開発やAPI等の基盤提供を行っています。 近年、ソフトウェア開発の現場では「変化に強い開発体制」が求められています。その中で注目されているのがアジャイル開発です。従来のウォーターフォール型開発と異なり、アジャイルは顧客価値を最優先し、変化に柔軟に対応していく開発手法といえます。 本記事では、1年目社員の活動の中で部内で実施したアジャイル勉強会やCSPO研修で学んだ内容、そして自チーム・自担当での実践事例をまとめています。 アジャイル初学者の方やアジャイル導入を検討されている方にとって、アジャイルの概要やメリット、実際の事例について知る1つのきっかけになればと思います。

① アジャイルとは何か ~アジャイル勉強会の内容から~
部内1年目向けに行われたアジャイル勉強会で学んだ内容を以下に整理します。
1. ウォーターフォール開発との違い
ウォーターフォール開発とアジャイル開発の違いは以下のようにまとめられます。 ウォーターフォール:要件定義からテストまでを順番に進める、途中で要件変更が難しい アジャイル:小さく分割してリリース、顧客価値を早期提供、変化に柔軟対応、繰り返し改善
2. アジャイル開発の進め方
アジャイル開発は基本的に以下の様に進めていきます。 ・顧客要望をプロダクトバックログ(PBL)に分割し、優先順位を設定 ・完成した機能をレビューし、必要に応じてリリース可能な状態にする ・スプリントごとに振り返り・改善を実施 ・顧客要望の変化にも柔軟に対応
まとめとして、アジャイルは「小さく分割し、早期リリースと振り返りを繰り返すことで、変化に対応する」開発手法であるといえます。
② CSPOで学んだアジャイルの理想とPOの役割
CSPO(Certified Scrum Product Owner)は、スクラムにおけるプロダクトオーナー(PO)の役割を学ぶ資格です。資格にかかる研修の中では、POの責任や価値最大化のための意思決定について理解を深めました。
1. POの役割
プロダクトオーナー(PO)は、スクラムチームにおけるビジネス責任者です。チームが価値あるプロダクトを開発できるように導くことが求められます。そのためには、顧客のニーズを正しく理解し、開発チームに的確に伝える「架け橋」となることが重要です。さらに、プロダクトの価値を最大化するための意思決定を担う存在として、優先順位付けや方向性の判断を行います。
2. PBLの優先順位付け
プロダクトバックログ(PBL)の優先順位は、「価値 × 工数」という視点で判断します。限られたリソースの中で最大の価値を提供するため、高価値かつ低労力のアイテムを優先的に開発します。価値の基準には、利益の向上、リスクの低減(納期短縮や自動化)、そしてイノベーションの促進といった要素が含まれます。この考え方により、短期間で顧客にとって意味のある成果を届けることが可能になります。
3. アジャイルを進めるうえでの重要なポイント
ステークホルダーの要求に対して「Yes」だけでなく、必要に応じて「No」を決断することで、無駄な機能追加を避け、本当に必要な開発に集中するための判断力が重要です。
大きなPBLを小さく分割し、短期間で価値を出せるようにすることにより、変化への対応力が高まります。
チームとステークホルダーの直接対話を促進し、全員がビジョンを共有できる場を作ることが重要です。
期待値管理を継続的に行い、開発チームのアウトプットとステークホルダーの期待を常にすり合わせることで、価値提供のタイミングを明確にします。
③ 自チームでのアジャイル実践
ここからは実際に私が担当しているチームにおけるアジャイルの取り組みについてまとめています。
1.スクラムイベントの運用
スプリント:2週間単位で開発を進行しています。 プランニング:スプリント開始日に実施し、PBL(プロダクトバックログ)の確認、担当割り振り、優先度調整を行い、スプリントの計画を策定しています。 デイリー:毎朝、開発チームのタスク確認や進捗共有を行い、足並みを揃えています。 リファインメント:毎日、POからのビジネス共有や開発チームの現状報告、次スプリントの見積やベロシティ調整を実施しています。 スプリントレビュー:最終日に成果物をPOないしはビジネスサイドに報告し、PBLのDONE判定を行っています。 レトロスペクティブ:スプリント開始日の午前中に前スプリントの振り返りを実施し、改善点を共有し、次スプリントに反映しています。
2.CSPOで学んだアジャイルの理想の自チーム内での実践
ここからはCSPOで学んだアジャイルの理想形を自チームで実践するために取り組んでいることについてまとめています。
価値と技術をつなぐPOの取り組み
POは意思決定のスピードと品質を向上するため、技術面の理解をサポートし、ステークホルダーと開発チームが同じビジョンを持てるよう、プロジェクトを推進していくのが理想です。 しかし現実には、ステークホルダーの要望が抽象的で、開発チームに伝える際に「ステークホルダーが真に求めるものは何か」を明確化するのに苦労しました。特に、価値の定義が曖昧なまま進めると、スプリント終盤で方向性のズレや要望変更が発生することもあり、調整に時間を取られる場面が多かったです。 そこで自チームではステークホルダーと開発チームのタッチポイントを積極的に設け、成果物の価値確認と方向性の共有を実施することで、利害調整をよりスムーズに行えるようにしています。
自担当のPBLの細分化
アジャイルでは大きなPBLを小さく分割し、スプリント毎に継続的に価値を出せるようにすることが重要です。 当初はビジネス要望をそのままPBLに落としてしまい、スプリント内で完了できず、Undoneになってしまう課題が発生しました。 この反省を踏まえ、自チームではビジネス要望から生まれる価値を整理し分割化するように改善を行ったことにより、1スプリントで価値を少しずつ提供しながら、要望変更にも柔軟に対応可能にしています。
④ CSPOで学んだ進め方と自担当の進め方の比較と考察
CSPOで学んだ進め方と自担当全体の進め方を比較し、その違いと理由を考察しています。自担当の進め方については担当の方にインタビューのご協力をいただいています。

違いの理由考察
スクラムイベント内の仕様変更等に対する優先順位の判断基準として、自担当ではお客様益が重視されています。これは、仕様変更や要望変更に柔軟に対応するための判断軸として、「お客さまに寄り添い、考え、価値を生み出しつづけていく」という理念をもとに、お客様に寄与するかどうか、という点を重視して判断しているといえます。また、アジャイルの中での改善活動の一環として、「開発&運用の標準化」についても進めています。これは、開発体制が総勢80名規模の大規模アジャイルであるため、品質を担保しつつ開発を効率的に進めるために行っている工夫です。
⑤ まとめと今後の方向性
この記事を通し、私が1年目のうちにアジャイル勉強会やCSPOで学んだアジャイルの概要やPOの役割、自チーム・自担当でのアジャイル実践とその比較を行いました。 アジャイル勉強会・CSPOで学んだ理念とPOの役割を、自担当の実践にさらに取り込み、スクラムイベントの価値を最大化するため、ステークホルダーとの期待値管理を強化とPBLの優先順位付けの精緻化について、実践していきたいと考えています。 アジャイル初学者の方に向けたアジャイル勉強の参考となればという思いはもちろん、アジャイル導入を検討している方の小さなきっかけの一つになれば幸いです。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。