NTTドコモR&Dの技術ブログです。

アプリ審査を乗り越えろ!高速リリースに向けた取り組み

はじめに

アドベントカレンダー2024、本日は一風変わって、ドコモには開発者を支える部隊もいるというお話です。

具体としてストア支援チーム*の取り組みについてご紹介します。

*AppleやGoogleはアプリストアでリリースできるアプリをガイドラインで規定している。
ガイドラインに沿うか確認する審査を、各プロダクトが円滑に通過できるよう支援をしているチーム。

ドコモでは毎日複数のアプリをリリースしています。そのために必須となる各アプリの審査通過を、ストア支援チームでサポートしています。

本取り組み紹介を通じて、ドコモでは開発のサポート体制も充実していること、そして社員みんなでお客様により良いプロダクトをお届けしようと取り組んでいることを感じて欲しいです!

記載者

NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー 第一プロダクトデザイン部 技術戦略担当 西村 晴友

現在入社2年目(2023年卒)で、開発部の横通し組織に所属し、本日紹介するリリース短縮の取り組みや、部門の中期戦略の策定と円滑な実現のサポートを担っている。

ドコモに入社して以来、幹部とコミュニケーションを取りつつの中期戦略策定や、米国に出張してのスタートアップとの英語会議 等々毎日刺激になることばかりの中で、一歩ずつ頑張っています!

目次

高品質・高速なリリースのために

ユーザーニーズの移ろいが激しい昨今、リリースの高速化はプロダクトの競争力を上げるために必須です。

一方で障害を起こせばお客様にご迷惑をおかけしてしまうので品質向上も欠かせません。
ドコモでは、各チームでの取り組みももちろんですが、統一フローを組むことで高品質かつ高速なアプリリリースを目指しています。

100を超えるアプリをリリースするドコモでは、専門チームで共通業務を取りまとめることによる効率化の余地が大きい!!

フローには、もちろんサービス特性やリリース内容等に合わせてパターンがあります。
※サービスの多様化や技術の進歩に合わせて各種仕組みをアップデートするのも我々、開発部横通し組織のお仕事の1つ!

アプリ審査でガイドライン違反を指摘されて、リジェクトを受けてしまった場合は下図のようになります。

開発者には馴染み深い、適切に対処しない限り回り続ける辛いループ・・・ ※濃い黄色が我々

ストア支援チームはこのリジェクトループを迅速に突破するインシデント対応を担っています。

そして単独アプリの通過支援に留まらず、それを記録し展開することで本来各チームに留まる審査リジェクト経験という暗黙知を、ドコモに数百人いる全ての開発者が活用できるよう形式知化します。
それにより、そもそもリジェクトを発生させず、高品質・高速なプロダクト提供に貢献しています。

ストア支援チーム取り組みの紹介

アプリ審査とは

各開発会社が色々なアプリを作成していますが、実はアプリは自由にリリースできません。
App StoreやPlay Storeといったプラットフォームを通してユーザーの皆さんにアプリをお届けしているためです。

プラットフォーマー各社はガイドラインを制定しており、審査の結果ガイドラインに違反すると判断されたアプリはリリースできません。
審査はアップデートの度に入るので、審査にスムーズに通過することがスケジュール通りのサービス提供に重要です。

プラットフォームを介して提供している。審査通過しないと新機能や不具合修正が届けられない

リジェクトは1回受けてしまうと(時差の関係で)最低でも1日計画からの遅延が発生します。

100を超えるアプリを持ち、なおかつ短期リリースを進めるドコモでは、対策を講じてもなお年間で100件を超えるリジェクトが起きており
各サービスの提供したいサービスを予定通りのタイミングでお客様に届けるにあたって欠かせない業務です。

ストア支援チームの活動

①リジェクト時対応 ②ノウハウ展開(全体周知・個別相談)

①リジェクト時対応

審査でリジェクトされてしまった時に迅速にリジェクトを解消することで、計画通りのサービス提供をサポートしています。
具体的には、審査リジェクト連絡のキャッチと案内、過去事例をもとにしたリジェクトの原因箇所絞り込みフォロー、過去通過した対策方法の事例共有を行います。 また、審査官への確認や説明が必要な際に、適切に情報を伝えることで審査官が気にする観点をケアできるように、連絡の代替を行います。

豊富な経験に基づいてリジェクト箇所のスムーズな修正へ寄与


(左)審査投入されていくアプリ達を見守り、祈りを捧げる日々 (右)通過!チームで拍手

さらに、重要な営みとして発生したリジェクト事例を記録する作業があります。
事例についてのファクト(審査官からの連絡内容・該当ガイドライン・違反と判断された要素・最終的に通過した対策内容)を後からでも利用可能な情報としてドコモ内に残すことで、次回リジェクトの防止へ繋げます。(②へ続く)

②ノウハウ展開(全体周知・個別相談)

審査でのリジェクトによるサービス影響を最小限にするために、①では迅速な解消のサポートをしました。
②ではもう一歩踏み込み、再発を防ぐために情報の展開を行います。

<全体周知>
・過去リジェクト事例集

6年、600件以上の事例集

・FAQを具備したチームサイト
・社内開発者向けの勉強会

(左)FAQを具備したチームサイト作成 (右)勉強会_100人超の開発者が参加

<個別相談>
全体に周知するだけでなく、リスク大なリジェクト事例があった場合は、関連するサービスを特定して個別相談も実施しています。

また、常時社内での事前リスクアセスメントも実施しています。

これらの取り組みにより600件以上のリリース遅延を救ってきました!

審査通過ノウハウ具体例「メモ欄活用のススメ」

審査提出をする際、App Store Connect上でメモ欄(以下レビューノートと呼称します)が表示されています。

App Reviewに関する情報欄

皆さんはこの欄に何かを記載しているでしょうか?

レビューノートは審査官に審査情報を伝えられる貴重な欄であり、
適切に活用することで大きな効果を発揮します。

社内ではサービス特性に合わせたフォーマットを作成し記載を推奨

記載項目例

・アカウント情報
 ログイン有無やログイン手順、削除手順など(テキストにしづらい画面遷移は添付資料をご利用いただくのもおすすめです)

・デモ動画情報
 物理デバイスを利用する場合など

・利用している権限の情報
 特殊な権限やAppleの気にするパーミッションなどを利用している場合

・今回のアップデート内容の情報
 自アプリを初めて見る、なおかつ海外在住である審査官にも伝わるように記載!

・アプリの概要
 自アプリを初めて見る、なおかつ海外在住である審査官にも伝わるように記載!
 ※前項と同様ですが、これは重要な観点なので忘れず意識ください!

・前回や過去ガイドライン違反と疑われた項目についての説明
 ここを欠かすと審査リジェクト再発を招きます。特に難解なリジェクトがあった後は必ずAppleとのやり取り内容含めて記載しましょう。

是非レビューノートを活用して、審査官にアプリ情報を誤解なく理解してもらい、
ガイドライン違反のないアプリだと自信をもって判断してもらいましょう!

まとめ

以上の活動によりこれまで600件のリリース遅延を救ってきました!
引き続き各サービスのやりたいことの実現をサポートして、ドコモが描く「すべての人が豊かさを感じられる世界」を作っていきたいと思います!

また、ドコモの高品質・高速なプロダクト提供を保つために我々が関わっていることがしっかり伝わったかと思います。(伝わっていて欲しい、!)
ドコモには他にも沢山の専門部隊がいて、各部隊なりのケイパビリティで開発をサポートしています。
全社員協力しあって、日々プロダクトを磨き上げ・お届けしています。

お客様の生活を豊かにするサービスの裏側にいる開発者たち・・の更に裏にも沢山のドコモ社員が想いをもって頑張っていることをたまに想像いただけたら幸いです!