1. はじめに
NTTドコモ 第一プロダクトデザイン部で映像配信サービス『Lemino』の開発を担当している松原です。
本記事では、New Relic の導入をきっかけに、Biz・Dev・Ops連携を強化し、顧客価値向上に向けたオブザーバビリティを活用するためのポイントについてご紹介します。
2. 『Lemino』のシステムについて
『Lemino』は、従来の『dTV』から、広告型無料配信および、感情をキーワードとした直感的なUIを提供する形で、2023年4月にリニューアルした映像配信サービスです。
また、サービス面だけではなく、システム面でも低コストでの大規模ライブ配信と、システム開発のアジリティ向上の実現を目的として、マイクロサービスアーキテクチャを採用し、システムを再構築しました。
※ アーキテクチャの詳細については、Amazon Web Services ブログに寄稿させて頂いた NTTドコモにおける Leminoの大規模ライブ配信を支えるアーキテクチャ をご参照ください。
3. システム運用時のオブザーバビリティ活用のポイント
3.1. 運用チームの監視モダン化によるサービス品質課題の早期検知
マイクロサービスアーキテクチャを採用したシステム運用では、顧客目線でサービスの価値をモニタリングする「モダン監視」を実現する必要がありました。
しかし、運用チームでは既存システムの監視手法を変更することに不安を抱えていました。
そこで、New Relic を導入し、旧来監視とモダン監視の仕組みを並行運用することで、品質を担保しつつモダン監視への移行を進めました。
New Relic の AWS インテグレーション機能や NRQL を活用することで、効率的に監視を再構築することができました。
3.2. 開発チームのオブザーバビリティ強化による迅速な原因究明
モダン監視により品質課題の早期検知が可能となりましたが、課題の原因究明から改善までを迅速化する必要がありました。
開発チームでは、デバッグ時から New Relic を活用することでツールの習熟度を向上させ、商用環境での課題についても検知から30分以内に原因究明を行えるレベルに達しました。
また、開発者がオブザーバビリティを活用することで、サービスに対する当事者意識の向上にも寄与しました。
3.3. ビジネスチームの意思決定の高速化によるサービス品質向上
モダン監視とオブザーバビリティの強化により、課題の早期検知から原因究明までは迅速化されましたが、課題改善を進めるにはビジネスチームの優先順位判断が重要です。
New Relic を活用してビジネス向けメトリクスをダッシュボードで可視化し、課題発生時には迅速に連携することで、意思決定から品質改善までを高速化しました。
4. まとめ
本記事では、New Relic の導入をきっかけに、Biz・Dev・Ops連携を強化し、顧客価値向上に向けたオブザーバビリティ活用のポイントについてご紹介しました。
オブザーバビリティの活用により、運用チームの監視モダン化、開発チームのオブザーバビリティ強化、ビジネスチームの意思決定の高速化を実現し、サービス品質向上に貢献することができました。
今後も、クライアント側のオブザーバビリティ強化や、サービスレベルとエラーバジェットの合意による意思決定の迅速化を目指し、顧客価値向上への取り組みを進めていきます。