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働きやすい環境は自らつくる!PowerAutomate/PowerAppsの活用事例コンテストを開催

NTTドコモ 第一プロダクトデザイン部の本郷です。普段は人材育成担当として、お客様体験の向上に向けて、アジャイルやクラウド、プログラミングなどの研修や勉強会、イベントを企画・運営しています。

この記事では、2024年6月から9月にかけて第一プロダクトデザイン部/第二プロダクトデザイン部で合同開催した、PowerAutomate/PowerAppsの活用事例を創出する「Powerチャレンジコンテスト(以下、パワチャレ)」という施策について、運営者の視点から取り組みの全体像をご紹介します。

チャレンジ称賛!最後に実施した参加者イベントの様子

パワチャレとは

  • 社員自らデジタル活用による自業務の改善を実践し、より働きやすい・働きがいのある環境を作ること
  • こうした取り組みが自然に行われ、称賛されるような文化を醸成すること

我々のチームではこれらの実現を狙うと共に、何より以下の思いを持っています。

「デジタルの力で、自分の手でやりたいことを簡単に実現できる世界を体感してほしい」

このような思いの中で、パワチャレはPowerAutomate/PowerAppsを題材に業務効率化の事例創出をテーマとした施策です。

企画の背景

私は中途採用でドコモにジョインしており、ドコモは自ら手をあげれば挑戦できるカルチャーがあることや学びに意欲的な人材が多いことを感じています。

その中で、エンジニアとして普段から手を動かして開発している方もいれば、マネジメント中心の方も多くいます。

一方で、多くの企業では、一昔前は簡単なことでも詳しい人や開発ベンダーにお願いをしてツール作成や改善を実現してもらい、デジタルは詳しい人がやるという考え方が浸透していたのではないでしょうか。

しかし今、皆がPCやExcelを使うことと同じように、ノーコードツールや生成AIを活用することで、働きやすい環境を自ら作り出せる範囲が以前より広まっていると感じています。

そこで、"当事者意識を持った人材"×"デジタル"をかけあわせ、お客様価値向上に向けて自ら改善していけることを体感してもらい、デジタル活用は当たり前な状態を目指していきたいと思い企画しました。

テーマ設定

今回の第一回目として、PowerAutomate/PowerAppsを使った業務効率化の事例創出をテーマにしました。

これをテーマとしたのは、以下のポイントが趣旨に適していると判断したためです。

  • ノーコードで自ら改善を実現できること
  • 昨年度より社内で誰でも利用できる環境が提供されたこと

一方で、PowerAutomate/PowerAppsの具体的な社内事例は不足していると感じており、デジタル活用は当たり前である状態を目指していくことを考えると、「こんな使い方ができるんだ」「自分たちでも作れるんだ」と示すための活用事例を増やすという課題がありました。

そこで、まずは普段よりデジタルを活用することが多い第一プロダクトデザイン部/第二プロダクトデザイン部を対象として、"Powerシリーズを使った活用事例を創出に挑戦するコンテスト"として「Powerチャレンジコンテスト」と名付けて実施しました。

以下がスケジュールです。

  • 6月: ハンズオン勉強会の開催と参加チームの募集開始
  • 8月: 改善事例の提出(期限までに相談会を設置)
  • 9月: 表彰式

ハンズオン勉強会

PowerAutomate/PowerAppsを知らない方や触れたことがない方に向けて、部内でオンラインで2時間のハンズオン勉強会を開催しました。

全体の流れは以下です。

  • PowerApps/PowerAutomateの概要紹介
  • PowerApps/PowerAutomateの基本操作ハンズオン
  • 例題の作成ハンズオン
  • リリース方法の紹介

この勉強会での例題は「社内周知の対応状況を管理するアプリ」とし、主な操作方法に触れながら動くモノを自ら作る体験提供を目指し、以下の機能としました。

  • 登録者が対応者を指定して周知内容・対応者・対応期限・対応ステータスなどを登録・編集できる
  • 対応者が対応ステータスを更新できる
  • システムが期限1日前の周知の対応者にリマインドできる

この機能を実現するために以下の構成で作成していきました。

  • PowerAppsで登録者・対応者が使用するUIを作成
  • PowerAutomateでリマインドのロジックを作成
  • SharePointリストでデータを保存

ハンズオン勉強会で作成した例題

当日は約30名が参加してくれました。実施後のアンケート結果から、自業務でPowerApps/PowerAutomateを活用してみたいとの声を多くいただけました。

講師を務めた我々もゼロからのスタートだったので最初は大変なこともありましたが、内容が参加者に響き嬉しかったです。

相談会

ハンズオン勉強会を実施した後に、個別に相談できる時間を設け、実践に向けたサポートをしました。

  • 「◯◯を実現したいんだけど、調べても分からなくて。。」
  • 「△△のようなことってできるものでしょうか?」

これらを、実践経験を持った講師役メンバーが回答していきました。

この相談会のポイントとして、社員自らデジタル活用していくことを目指している施策のため、作成代行のような支援にはならないように注意していました。そのため、基本的な方向性を示しながら、生成AIやGoogleを活用することを促しながら、成果物を自ら完成させる体験を得てもらうことを重視しながらサポートしました。

特に、新入社員の方々はじめ開発経験が少ない初学者の方がこの機会を積極的に活用して、自分ごととして推進しようと励んでいる姿が印象的でした。

事例の提出

普段の業務が忙しく期限も短い中、取り組むチームがどのくらい集まるか不安もありましたが、ハンズオン勉強会・相談会を経て、全7チームからコンテストへのエントリーがあり、各チームが事例を紹介するプレゼン動画と資料を提出してくれました。

社内情報のため詳細な内容を公開することはできませんが、各事例とも自動化・仕組み化によって、業務の工数削減・リードタイム短縮・品質向上・セキュリティリスク低減・従業員体験の向上などを実現しました。

また、成果物・作成プロセス・プレゼンなど各チームが工夫しており様々な特色があったので、以下に主なトピックを記します。

  • 年間約250時間かかっていた手作業を自動化
  • 業務にかかる工数の可視化ツールを作成して業務改善を意思決定
  • Slack上に送られたメール内のボタン押下による体験を工夫
  • Officeスクリプトを併用することでパフォーマンス低下を対策
  • 既存の仕組みの置き換えでなくフォーマットやプロセスも改善
  • 開発未経験の新入社員が生成AIを活用しながら作成
  • AWSを活用してツール上の制約を突破
  • 寸劇チックなプレゼン動画
  • 横展開を見据えたインポートできる形式や導入資料を提出

表彰式

このように、各チームが圧倒的当事者意識で施策を盛り上げようと熱意を持ちながら優良事例を創出してくれました。 そのため、当初は最優秀賞を決めようと計画していましたが、審査を経て全チームを表彰することになりました。オンラインでの表彰式では、表彰状の授与に加え、各チーム代表者へのインタビューを通じて、プレゼン動画だけでは伝わりきれていない工夫やチャレンジ・ノウハウを共有しました。

インタビューではこの施策に積極的に参加してくれた皆さんだけあって、受け答えや内容がしっかりしており、PowerAutomate/PowerAppsに限らず、「困ったときでも生成AIや有識者に聞きながらであれば実践できる、またドコモにはそのような環境がある!」というようなポジティブなメッセージを部内に発信できたと思います。

ランチミーティング

表彰式と同日に、全参加チームがイベントスペースに集まるランチミーティングを副賞として開催しました。 普段はリモートワークが中心で別担当のメンバーと話す機会が少ない中、お互いの労いや意見交換を通じて、チャレンジしたメンバー同士のつながりを作ることができた貴重な機会となりました。

ランチミーティングの様子

ランチが一段落した後には、"クレイジーエイト"というアイデアを1分ごとに出すことを8回繰り返すブレインストーミング手法により、それぞれが次なる業務効率化のアイデアを出し合いお互いにディスカッションする会を設けました。参加者は業務の上の共通の課題や各自の面白いアイディアについて熱心に意見を交わし、解決に向けた具体的な方向性を議論する姿が印象的でした。

ネクストアイディアのディスカッションと発表

今回のイベントにより、新しいことにチャレンジした仲間同士だからこそ生まれる熱意と一体感があり、仲間を「つなぐ」ことの重要性を肌で感じました。

また、ハンズオン勉強会や相談会の参加者が成果をあげており嬉しく思うと共に、知識を学ぶ勉強機会とそれを実践する一歩踏み出せる場を用意することで、輝く人材が見つかることを学びました。

余談ですが、「エンジニアイベントといったらピザでしょ!」という担当部長のフランクな意見からランチの内容をピザとしました。当日はピザに最適なコーラの提供を忘れたため次回改善します。

まとめ

「デジタルの力で、自分の手でやりたいことを簡単に実現できる世界を体感してほしい」という思いは参加者の圧倒的当事者意識によって実現できました。今回のパワチャレを振り返り、このようなデジタルツール活用の実践に向けた施策を拡大していき、デジタルを活用して働きやすい環境を自ら作っていく風土を目指して活動していきます。

最後に、この記事を読んで、手をあげることでチャレンジでき、それを称賛し合える文化が根付いているドコモに少しでもご興味を持たれた方は、ぜひリクルートサイトもご覧ください。皆さまと共に価値創造ができる日を楽しみにしています。