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エンジニアのためのGoogle Analytics活用術:GA4のカスタムアラート通知をSlackで即座に共有する方法

こんにちは! NTTドコモ 第一プロダクトデザイン部の堤公希です。

コンシューマ向けアプリの開発部に所属し、アプリのプロダクトオーナー業務の一端を担っております。

私のチームでは、Google アナリティクス 4(GA4)を利用したモバイルアプリのデータ分析や異常監視を行っているのですが、その中でGA4のカスタムアラート通知を利用する際に直面した課題、および解決方法についてご紹介いたします。

モバイルアプリやWebサイトのデータ分析や監視を行う皆さまへの知見の1つにでもなれば幸いです。

1.カスタムアラートとは

1-1.カスタムアラートの概要

カスタムアラートとは、モバイルアプリやWebサイトの利用状況について、Google アナリティクス 4 (GA4)で事前に設定した条件に該当した場合にアラートで通知する機能です。

カスタムアラートを設定していると、GA4の管理画面に入ることなく、モバイルアプリやWEBサイトの異変をメールの通知で知ることができます。

カスタムアラート(カスタムインサイト)の通知メール例

例えば、「モバイルアプリでエラー番号●●に遭遇したユーザーが▲▲%増加したら、メール通知する」といったような通知条件の設定が可能です。

1-2.GA4のベイズ統計モデルに基づく異常値検知機能の活用

GA4では、ベイズ統計モデルに基づく異常値検知を自動で実施する機能があります。

GA4での異常値検出例

カスタムアラートの通知条件の設定においては、手動での閾値設定(▲▲%増加、など)に加えて、上記の「異常値検知」がされたタイミングと設定することも可能です。

1-3.カスタムアラートの設定方法

カスタムアラートは、GA4のTOPメニューから レポート>Insightsカードにある「すべての統計情報を表示」 で表示されるInsights管理画面から設定できます。

カスタムアラート(カスタムインサイト)の設定画面

カスタムアラートの具体的な設定方法については、以下のAZ社のサイトでもわかりやすく紹介されていますので、ご参考ください。

azkk.co.jp

2.カスタムアラート通知における課題

2-1. カスタムアラートはSlackに直接通知できない

カスタムアラートはあらかじめ設定した通知先メールアドレスに対し通知を行うことができますが、2024/12/2現在、Googleアカウント以外のメールアドレスを通知先に設定できないという制約があります。

そのため、カスタムアラートをSlackのチャンネル上で通知しようとしても、通知先のSlack側メールアドレスはGoogleアカウントではないため、直接Slack上で通知を行うことができません。

もちろん、メールで通知は確認できるのですが、日常のコミュニケーションをSlackで行っている場合、やはりSlackにも通知がされた方が見逃しにくく便利ですよね。

3.カスタムアラートをSlackに通知する方法

そこで私のチームでは、以下のようにGA4からのカスタムアラートを一旦Googleアカウントのメールアドレスで中継し、GoogleアカウントのメールアドレスからPower AutomateによりSlack側メールアドレスに自動転送させるという手順で解決しました。

Googleアカウントからのメールアドレスからの自動転送については、いくつか方法は考えられますが、私のチームでは、Microsoft社のRPAツールであるPower Automateを活用しました。

以下で具体的な設定方法を説明します。

3-1.カスタムアラートの通知先設定

カスタムアラートの通知先として、Googleアカウントのメールアドレス(アドレスA)を指定します。 企業の場合、Googleアカウントを持つ社員のメールアドレスなどで問題ありません。

カスタムアラートの通知先設定画面

3-2.Power Automateでのフロー設定

Power Automateで、以下のようなフロー(シナリオ)を作成し有効化します。

【フロー設定内容】

 カスタムアラートの通知元メールアドレス(notify-noreply@google.com)からアドレスAにメールが届いたとき、Slack側メールアドレスに自動転送する

フローの作成は、以下のとおりPower Automateのマイフローメニューから行います。

Power Automateのマイフロー設定画面

↓実際のフロー作成画面で、GA4から新しいメールが届いたとき、Slackチャンネル宛メールアドレスにメール送信するように設定します。

フロー作成画面

なお、Power Automateのフロー作成方法詳細は、他書に譲りたいと思います。

4.実施結果

上記のとおり設定を行うことで、アドレスAの保有者がメーラーを起動することなく、カスタムアラートがアドレスAに通知されたタイミングでSlackの任意のチャンネルに通知を行うことが可能となりました!

Slack通知画面

なお私のチームでは、Slack上で監視専用のチャンネルを立ち上げており、そちらのチャンネル宛にカスタムアラート通知が行われるように設定しています。

監視専用のチャンネルを立ち上げておくと、日常のコミュニケーションに埋もれにくくなるため、オススメです!

まとめ

今回は、Google アナリティクス4(GA4)におけるカスタムアラートをSlackに通知する方法をご紹介いたしました。

モバイルアプリやWebサイトの監視ツールや監視手順については、本内容以外にもさまざまなものが存在しますので、是非自分のスタイルにあったものを探し、利用してみてくださいね。