NTTドコモR&Dの技術ブログです。

TOGAF®9トレーニングコースに参加してきました

はじめに

はじめまして、NTTドコモ情報システム部の伊山です。 2024/7/3-5の3日間、オープン・グループ・ジャパン主催のTOGAF®9トレーニングコースに参加させていただき、無事に認定をいただくことができました。

今回の受講のきっかけとしては、今後のキャリアを見据えた際に、企業全体としてのIT戦略を考える上での手法について知りたかったためです。 今回のトレーニングコースを通じて視座を高めるきっかけにもなったので、現状IT戦略に携わっている方だけでなく、私のように開発・運用業務に携わる方にも是非チャレンジしていただきたいです。 まだまだ日本においてマイナーな資格であるのか、私の受験時にQiitaなどであまり受験した方の声を見ることができなかったので、今回は受講を検討されている方や現在受講中の方向けに受験体験記のような記事をお届けできればと思います。

TOGAF® 標準とは

TOGAF® 標準は、グローバルなIT標準団体であるオープン・グループのアーキテクチャ・フォーラム(アーキテクチャ技術部会)が長年にわたり開発してきた、エンタープライズの経営意思に立脚したITシステム体系(ITアーキテクチャ)を策定するための手法およびツールです。 (オープン・グループ・ジャパン からの引用)

TOGAF® 標準とは、オープン・グループ・ジャパンのホームページでも紹介されている通り、エンタープライズアーキテクチャを開発するためのグローバル標準のフレームワークとして、詳細な手法と支援ツールについてまとめられたもので、企業が情報技術(IT)を効果的に設計、計画、実装、管理するための包括的なアプローチを提供します。 TOGAFは、以下の4つの主要な領域に焦点を当てて、企業がITとビジネスの整合性を確保し、効率的な運用を実現するためのガイドラインとツールを提供します。

ビジネスアーキテクチャ:ビジネス戦略、ガバナンス、組織構造、主要なビジネスプロセスを定義します。 アプリケーションアーキテクチャ:アプリケーションシステムの設計と、それらがどのように相互作用するかを示します。 データアーキテクチャ:データの構造と管理方法を定義します。 テクノロジーアーキテクチャ:ITインフラストラクチャの設計と実装をサポートします。

NTTグループとしても、グループ全体での共通フレームワークとしてTOGAF® 標準を認定しており、今後会社としてさらに利用を進めていこうという動きがあります。 私の所属する情報システム部でもエンタープライズアーキテクチャ推進の一環として資格取得を推奨しており、既に約3割ほどの社員が取得をしています。

トレーニングコースに参加して良かったこと

①グローバルなフレームワークについて、日本語で学ぶことができた

トレーニングコースは全て日本人講師の方から日本語で実施いただき、認定試験についても日本語で受講することができました。(トレーニングコースに参加せず受ける場合、英語の試験しか対応していないそうです)

講師の方とのコミュニケーションであったり、内容の理解についても母国語であることで比較的理解がしやすかったと感じました。 TOGAF® 標準は日本ではあまり浸透していないフレームワークであるのか、なかなか日本語での独学は難しそうなため、ここもトレーニングコースに参加するメリットかと思いました。

②経験豊富な日本のTOGAF® 9 認証アーキテクトが講師を担当している

様々な企業で活躍された経験のある講師の方々が、自身の経験談なども交えて講義をしてくれているので、普段の仕事の中では得られないお話しを聞くことができ、とても良い経験 になりました。 また、講義だけでなく質問には非常に丁寧に答えていただけたので、講義中に疑問点などを書き留めるなどして質問するのがおすすめです。

③実業務において視座が高まった

開発・運用業務の中だと自分の担当しているプロダクトの機能開発のみにフォーカスしがちになっていましたが、TOGAFを通し企業全体としてどのようなIT戦略を取るべきかについて学んでいくことで、視座を上げて考えるきっかけができました。 このような視座の高まりにより、経営陣やビジネス部門の考えについて、以前よりも理解がしやすくなる効果がありました。

トレーニングコースの概要

トレーニングコースでは、3日間にわたって、エンタープライズアーキテクチャを開発する手法であるADM(Architecture Development Method;アーキテクチャ開発手法)について、学んでいきます。 ADMとは、TOGAFの中核となるフレームワークで、企業のITアーキテクチャを計画、設計、実装、管理するためのフレームワークの一部として広く使用されています。 ADMは初期フェーズ、フェーズA~Hの9つのフェーズと、アーキテクチャ要件管理というプロセスからなり、これらのフェーズを反復的に行うことでアーキテクチャ策定を進めていきます。

画像引用元:https://opengroup.or.jp/togaf.html

トレーニングコースにおいては各フェーズについての目的、プロセス、成果物などについて解説がありました。 初めの方は少し馴染みにくいと感じてしまいましたが、フェーズごとに確認問題や質疑応答の時間などがあり、これらを活用することで理解を深めていくような感じでした。 また、フェーズが進んでいくごとに各フェーズのつながりなども見えてくることで、だんだんと理解が深まっていきました。

認証試験について

認証にはLevel1とLevel2で、それぞれ異なる試験に合格する必要があります。 今回のコースでは、トレーニングコースの一週間後にLevel1とLevel2両方の試験を受験しました。(コースによってスケジュールは異なり、トレーニングコース翌日に試験するケースもあるそうです) それぞれの試験の内容としては、下記の通りです。(ちなみにLevel1に合格しないとLevel2 は採点されないようです。 )

Level1

40問の複数からの選択問題で、TOGAF® 標準に関する基本的な知識が問われます。 制限時間は60分間です。 Level1については、トレーニングコースで出てきた用語の理解や、ADM(Architecture Development Method;アーキテクチャ開発手法)についての理解が重要で、これらを押さえておけば合格が可能かと思います。

Level2

8問のシナリオベースの問題で、TOGAF® 標準を活用したシナリオとして正しい内容を選ぶ力が問われます。 制限時間は90分間です。 Level2については配点がそれぞれ4種類あり、それぞれ5点(正解の選択肢)、3点(TOGAF® 標準として正確な内容ではあるが、ユースケースとしては誤りがある選択肢)、1点(TOGAF® 標準の用語などは含まれているものの内容が間違った選択肢)、0点(TOGAF® 標準の内容が全く含まれていない選択肢)となっております。 例年Level2で不合格となる方が出やすいそうで、いかに1点, 0点の選択肢を避けることができるかが重要とのことでした。

事前にいただいたサンプル問題等を見ると難しくて全然解ける気がしませんでしたが、トレーニングコース中で講師の方が試験に向けたヒントを要所で教えてくださるので、そこを聞き逃さず後で復習できるようにしておくことで、合格に近づいたと思います。 教本や追加資料がかなり分厚いので、すぐ情報にアクセスできるよう上手く整理しながらトレーニングコースを受講するのがおすすめです。(私は後から見返しやすいよう、ページ中の重要な部分にマーカーを引いたり、すぐページを引き出せるように付箋を貼ったりしていました)

おわりに

ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。 今回は、TOGAF®9トレーニングコースについて受験体験記を紹介させていただきました。 今後受講を検討されている方、現在受講中の方などに少しでも役に立つと嬉しいです。

参考ページ

・オープン・グループ・ジャパンホームページ https://www.opengroup.or.jp/