NTTドコモR&Dの技術ブログです。

【社内コミュニティ】1年半で1000人規模の資格取得応援コミュニティを立ち上げた話


はじめに

本記事はNTTドコモ Advent Calendar 2023の15日目の記事です。
こんにちは。NTTドコモサービスイノベーション部入社5年目の田尾です。 同じ部署の入社4年目の滝村と入社3年目の加藤と共に、業務の傍ら有志で データ分析系の資格取得を応援する社内slackコミュニティ「資格取得応援コミュニティ」の運営を行っております。 NTTドコモではドコモグループの中期経営目標において「データ活用人材を2025年度5,000⼈規模まで拡⼤し、デジタルマーケティングの高度化・データドリブン経営を加速」することを目指しており、全社的にデータ活用人材の育成に注力しています。サービスイノベーション部では、社内においてデータサイエンティスト人材が多く在籍する部署の立場から「AI-CoE」として社内データ活用人材の育成に取り組んでいます。 私たちのチームでは、その一つの取り組みとして、データ分析系の資格取得を通じて社内人材のスキルアップやキャリア開発支援を行うコミュニティ活動を立ち上げ、その推進に尽力してきました。 約1年半コミュニティを運営してきたので、 本日はコミュニティ運営のノウハウ、現在のコミュニティになるまでの過程についてご紹介致します。


TL;DR

  • 社内コミュニティ「資格取得応援コミュニティ」を立ち上げた。
  • コミュニティ成長フェーズに応じた戦略・取り組みを実施。
  • 結果として、1000人規模のコミュニティに成長させることができた。
  • この記事の対象者

    ・社内コミュニティを立ち上げようとされている方
    ・部の育成担当として、社内スキルアップ向上に資格取得を役立てたい方

    コミュニティ概要

    社内でのデータ活用人材育成の一環で、資格取得を通じてデータ活用スキルアップを目指されている方向けに、社内の相互交流を通じて効率よく最短経路で資格取得できるよう応援するコミュニティを運営しております。

    資格取得応援コミュニティ概要

    立ち上げ背景

    前述のように、NTTドコモは企業の中期経営目標であるデータドリブン経営を進展させるために、データを活用人材の育成に力を注いでいます。その一環として、社内のデータ分析人材によるコミュニティ活動の立ち上げが検討されました。その中で、「資格取得」を中心においたコミュニティの構築案が浮上しました。この案に対して、意欲的な若手メンバーが集まり、チームを結成して「資格取得応援コミュニティ」を設立することとなりました。 


    コミュニティ形成の道のり

    コミュニティメンバー人数推移

    立ち上げ期(2022/3~)

    社内でコミュニティの立ち上げ時に、まず注力したのがコミュニティ形成に必要な最低限の仕組み(Minimum Viable Product; MVP)の決定でした。そこで、以下の3点をMVPとして定め、コミュニティのベース確⽴を行いました。

    • ビジョン設定

    コミュニティがどのような価値を提供すべきなのか、メンバーが共感するビジョンを検討しました。このコミュニティでは、メンバーが「資格取得」を達成することが最大な価値となるため、まず最初に資格取得を達成すためのノウハウ収集とその活用の仕組みとして合格体験記/合格報告(※参考:取り組み①)の仕組みを作りました。

    • コアメンバーチームの結成

    立ち上げ初期はコミュニティをリードするコアメンバーの力が必要になります。有志での運営チームを結成しました! 初期メンバーは4名になります。

    • コミュニケーションの場

    コミュニティ内の情報共有や交流を円滑に行えるよう、プラットフォームとしてSlack(※参考:取り組み②)を選択し、コミュニケーションのルールやガイドラインを決定しました。 ※当初、「資格取得応援コミュニティ」は「DATA X Certification Challenge」という名前で活動しておりました。

    取り組み① 合格体験記/合格報告

    合格報告
    合格体験記

    取り組み② slackの活用

    slackは社内の誰でも気軽に参加できたり、定型タスクをワークフローなどで自動化できるのでとても便利でした。 コミュニティを運営するコミュニケーションプラットフォームとして最適だと思います。

    構築期(2022/10~)

    コミュニティを立ち上げて半年程度が立ち、MVPとしてのコミュニティ活動も軌道に乗り人数規模も数百名という状況になっていましたが、メンバー拡大が少し鈍化し始めていたことと、まだまだコアな運営メンバーの働きかけが中心で、コミュニティメンバーが活動に参画しているとは言えない状況でした。そこで、メンバーの拡大やコミュニティ内での活動の活性化を目的にした施策を検討しました。 結果、この取り組みから半年ほどで、コミュニティ規模を数倍にすることができました。

    • 社内での多様な人材が集まる場とする

    社内認知を増やすため、人事部門に協力を仰ぎ、全社的な組織横断イベント(※参考:取り組み③)を企画しました。

    • 安⼼して参加できる環境づくり

    コミュニティ内での参加メンバーの活動について⼼理的安全性を⾼めるため、合格者インタビュー(※参考:取り組み④)、匿名投稿(※参考:取り組み⑤)、月報(※参考:取り組み⑥)などを開始しました。

    取り組み③ 組織横断イベント

    コミュニティ参加者数獲得のため、組織横断イベントを年に1回の頻度で開催しております。
    自ら行動しなくても、コミュニティが橋渡しとなって、人事制度などについて直接質問できる場が設けられるのはありがたいというお声をいただいております。

    実施月 イベント名
    2022/12 人事部×資格取得応援コミュニティ
    2023/12 人事部×最前線で活躍されているデータサイエンティスト×AI-CoEコミュニティ(資格取得応援コミュニティ含む)
    取り組み④ 合格者インタビュー

    2~3ヶ月に1度の頻度で開催しており、各回20~40名の方にご参加いただいております。
    社内の合格者の生の方の声が聞けるので、自分ごととして捉えやすいというところで好評いただいております。

    実施月 対象資格
    2022/10 G検定
    2022/12 AWS Solution Architect Associate
    2023/2 応用情報技術者
    2023/5 データ分析実務スキル検定
    2023/8 統計検定2級
    2023/11 マーケティング検定2級
    取り組み⑤ 匿名投稿

    資格に関する社内制度の活用について等を主にご質問いただいております。 運営メンバーが回答することもありますが、コミュニティメンバーから積極的にご回答いただいております。

    匿名投稿

    取り組み⑥ 月報

    コミュニティメンバーの喜び・貢献をみんなで祝福する、月報発信を行なっております。

    月報

    成熟期(2023/5~)

    メンバー数も増加し、安定的なコミュニティ活動が継続できるようになりましたが、コミュニティメンバーから自主的に活動を推進するまでには至っていない状況です。メンバーに積極的な参加を促し、運営なしでも完成されるコミュニティにすることを目的とした施策の検討を行っています。 まだまだ道半ばではありますが、2023年10月にコミュニティメンバー数1000人という大台を達成しました!

    • コミュニティの質を重視した取り組みの設計

    このコミュニティに参加することで得られるメリットを増やすべく、人事部門と連携した社内資格取得状況の可視化(※参考:取り組み⑦)や、資格スケジュールのリマインド(※参考:取り組み⑧)、書籍貸し出しなどの取り組み(※参考:取り組み⑨)を追加しました。

    • 個々のコミュニティメンバーに合わせたエンゲージメントの仕組みづくり

    コミュニティ参加に対するメンバーのエンゲージメント向上に向けて、ニーズ調査アンケート(※参考:取り組み⑩)を開始、コミュニティ貢献に応じたリワードの導入についても検討を開始しています。

    取り組み⑦ 社内資格取得状況の可視化

    どの資格を目指したらいいのかわからないという声をよくいただいていたので、 ”社内での資格取得者状況”、”前後でよく取得されている資格"の可視化をしコミュニティ内で展開しており、1000名以上の方にご利用されております。

    取り組み⑧ 資格スケジュールのリマインド

    データサイエンスに関する資格の試験申し込みに関する アナウンスを行っております。

    資格スケジュールのリマインド

    取り組み⑨ 書籍貸し出し

    コミュニティ参加者の資格取得を促進するため、コミュニティで資格勉強に必要な書籍を貸し出しております。
    現在の対象書籍は、「統計検定2級公式問題集」と「データ分析実務スキル検定公式テキスト」の2冊です。
    施策開始から3ヶ月間で15名の方にご利用いただき、うち4名がすでに資格合格できました! 利用者からは書籍を無料かつ無期限に使えることに価値を感じていただいております。

    取り組み⑩ ニーズ調査アンケート

    コミュニティメンバーの満足度向上、資格取得支援を目的にコミュニティニーズ調査アンケートを実施しました。コミュニティメンバー120名程から回答をいただきました。アンケートをもとに、次期施策の検討を行なっております。

    最後に

  • 約1年半で1000人規模のコミュニティを作ることができました!!!
  • 運営を通じて大事だなと思い実践していることは以下3点になります。

    1. 瞬時にリアクション!
    2. コミュニティメンバーがコミュニティ内で発信をしてくれた際にはすぐにslackのスタンプを押しに行くということを徹底しています!slackの反応があると投稿者も安心して投稿できると思うので、心理的安全性のある楽しいコミュニティづくりを心がけています!
    3. ユーザー目線で施策を企画
    4. 運営メンバー自身もコミュニティメンバーの一員でもあるので、どんな施策があったら良いかをコミュニティメンバー目線で考えて施策を企画するよう心がけています!
    5. 運営メンバーが楽しむ
    6. 運営メンバーで楽しくコミュニティを運営するということを心がけています!コミュニティを継続的に運営していくにはまぁまぁな継続力・努力が必要になってきます。そこを運営メンバーで楽しく乗り越えられることが大切だと思っており、無理しない、楽しむことを心がけています!

  • ただ、ここまでコミュニティを拡大できたのは、コミュニティメンバーやイベントご登壇者などの多大なるご協力が合ってのことなので、これからも周囲の方の声に耳を傾け、更なるコミュニティの発展に邁進したいと思います。