NTTドコモR&Dの技術ブログです。

2025年 電子情報通信学会 ソサイエティ大会参加レポート (EMC)

はじめに

 6Gテック部 無線デバイス技術担当の石岡です。本記事では、私が担当しているEMC(電磁環境両立性)に関する研究活動や、2025年9月に岡山大学で開催された電子情報通信学会ソサイエティ大会への参加報告をお届けします。

EMCってなに?

 EMCは「Electro-Magnetic Compatibility」の略語であり、「電磁環境(または電磁的)両立性」あるいは「電磁環境適合性」と訳されています。我々は、携帯電話基地局や端末の出す電波が人体やほかの機器に何らかの影響を与えないような電磁環境であり続けることをめざしています。6Gなどの新たな周波数や方式を用いる状況においてもEMCを確保するため、新たなEMC評価技術の確立や運用への適用のための検討をしています。

(参考) www.docomo.ne.jp

学生と企業の交流イベント「EMCJ Touchpoint」

 今回のソサイエティ大会では、EMCに関心のある学生と企業が交流できる「EMCJ Touchpoint」が開催されました。前半は学生による研究発表、後半は企業の取組み紹介と、活発な意見交換が行われました。  学生のみなさまの発表を拝見し、後半ではドコモのEMC分野での取組みを紹介しました。多くの学生や企業の方々が参加し、会場は熱気に包まれていました。

写真は会場の様子です。多くの学生や企業関係者が集まり、活発な議論が交わされていました。

ドコモにおける、EMC分野への取組状況を学生のみなさまにご説明している様子です。右側に座っているのがわたしです。

 当日学生の方からは、「ドコモがEMCに関する研究をしていることを知らなかった」という声もいただきました。「〇〇 Hzで △△ bpsを達成!」といったみなさまの目を引くような研究とは違い、ドコモにおけるEMCの取組みはなかなか学生に認知いただける機会が少ないため、こういった学生と企業との交流イベントでも、積極的にアピールしていきたいと思います。

学会発表

 また、私は、学会での成果発表として、基地局アンテナ近傍における人体への電波ばく露量を評価した結果を発表しました。携帯電話基地局といえば、鉄塔やビルの屋上など、高い位置にあるものが従来は一般的でした。下記画像は、Copilotに「携帯電話基地局の画像を生成して」と依頼した結果です。やはりアンテナが高い位置にあることをイメージした画像になっていました。

生成AIが作成した携帯電話基地局のイメージ

 一方、都市部では基地局アンテナの設置場所が限られるため、ガラスアンテナなど新しい形状の提案も進んでいます。

(参考) www.docomo.ne.jp

 このような背景から、今後基地局アンテナと人体との距離が近づいた場合でも、お客さまがあんしんして携帯電話を使用できるように、我々はサービスを提供する必要があります。そこで基礎的な検討として、基地局アンテナ近傍における電波ばく露量を測定し、評価した結果を発表いたしました。

発表スライドの抜粋

最後に

 今回は私が担当しているEMC(電磁環境両立性)に関する研究活動や対外活動の様子をお伝えしました。5G Evolution及び6G時代において、お客さまにあんしんして携帯電話をご使用いただけるように、引き続きEMCに関する技術検討を進めていきます。