当記事はドコモによる3GPPでの6G標準化活動の記事です。
はじめに
こんにちは!NTTドコモ 6Gテック部の黒岩と山内です。今回は、3GPP SA1にてはじまった6G標準化の状況、そのなかでドコモはどんな活動をしているのかご紹介します。 3GPPとは何か、どんなことを議論しているのか、などの基本的な情報はこちらの記事にまとまっているので、ぜひこちらも読んでみてください。
3GPP SA1ってどんなグループ?
さて、移動体通信の国際標準仕様を策定している3GPPですが、なかでもServices and System Aspects Working Group 1(略称SA1)はどんなグループでしょうか? 簡潔にいうと、「ユースケースとサービス要求条件」を策定しているグループです。よりかみ砕いた言葉でいうと、「将来お客様にどんなサービスを提供できるか」「そのためにどんなネットワークが必要か」、を議論しています。3GPPの仕様策定においては、最上流の工程を実施するグループであり、SA1で決めたことをベースに他のグループが技術検討を進めていきます。 ドコモからもSA1に参加し、移動体通信のユースケース、要求条件の議論に参加しています。
SA1での6Gの進捗状況
SA1では今年度から6Gの議論がはじまりました。まずは、各社から6Gに関するプレゼンテーションを募り、どんなユースケース、どんなネットワークを実現すべきかの意見交換を行うところからはじめ、2024年8月会合で初期6G検討の仕様書テンプレートを合意しました。2024年11月会合からテンプレートをもとにユースケース、要求条件の議論がスタートする予定です。3GPPにおける6Gの議論は2029年ごろまで行われる予定で、まずはSA1で「お客さまにどんなサービスを提供できるか」、「そのためにどんなネットワークが必要か」を策定していきます。
ドコモの活動
ドコモからは、6Gの価値やコンセプトを会合で説明しました。6Gではサステナビリティの観点で電力効率のよいネットワーク、また、お客さまへの新価値提供として、In-network computingと呼んでいるお客さまの端末の能力をネットワーク側で補助するコンセプト(昨年度PoCも実施しました。詳細はこちらでご確認いただけます。)、ネットワークにおけるAI活用などを考えています。これらの価値を提供する6Gを策定すべく、3GPPの議論に取組んでいきます!ドコモから提案する6Gの価値の詳細はこちらの記事にてご紹介しています。こちらもぜひご一読ください。
また、2024年8月会合では6Gの初期検討の仕様書テンプレートの議論が行われました。6Gをどういうスコープで検討すべきか、仕様書をどんな章構成にすべきかなどについて議論しました。ドコモからは、先述した6Gの重要な価値と考える要素を仕様書内で議論すべく、ComputingやAI、電力消費効率化の観点などを含む章構成を提案し、会合に参加している各社の代表と議論を交わしました。
おわりに
3GPP SA1では6Gが始まりました。本格的な技術議論は11月よりはじまりますが、SA1の6G検討に貢献すべく、ユースケース、要求条件を入力していく予定です。よりよい6Gになるように、まずはSA1を頑張っていきたいと思います! 私たち個人としては、ドコモのSA1担当者として、約10年に一度の新しい世代の議論の立ち上げに関わることができて幸運かつ光栄に思います。また、お客さまに通信サービスを提供するオペレーターとしてSA1での活動は重要だと考えています。将来どんなサービスが実現できればお客さまにとって便利になるか、よりよい未来のモバイルサービスを常にイメージしながらSA1での提案・議論を続けていきたいと思います。