NTTドコモR&Dの技術ブログです。

国際標準化担当はサンタクロース?! (「ご主人様は副議長」クリスマスバージョン!)

NTTドコモ R&D Advent Calendar 2024 の19日目の記事です。

NTTドコモの社内メディアである“docomo EVERYDAY”で連載中のグローバル業務・国際標準化解説マンガ「ご主人様は副議長」が、クリスマス特別バージョンとしてドコモアドベントカレンダー2024に登場!
国際標準化業務について、その内容と魅力を語ります。 ※1 本記事は季節柄、あくまでも標準化会議を説明するためのアナロジーとして「サンタ制を導入している国による国際会議」というフィクションの設定を用います。特定の宗教・文化などを揶揄・排除する意図はありません。

■国際標準化業務ってなあに?

※2 石川の記事 「3GPPの副議長に当選した話」もぜひご覧ください!

世界は規格やルールであふれている

この世界は「規格」であふれています。たとえばペットボトルの大きさのサイズから、電源の形、電車のレールの幅、クレジットカードのサイズなど、世界で形状や大きさが決まっているモノは数えきれないくらいあります。(サンタクロースのソリだって、きっとそう!)

モノだけではありません。サッカーなどのスポーツのルールから、会計の国際基準、エコやダイバーシティに関することなど・・・目に見えないけれど、わたしたちの行動を決定する多くの「ルール」も国際的に決められています。

そして通信業界のお仕事は特に規格化が切っても切り離すことができません。日本で使っているスマホをそのまま海外で使ったり、日本から世界のどこかにいる人々とも電話ができるのは、世界中の通信事業者たちが「国際標準のネットワークを」・「国際的に決められたルールに従って」運営しているからです。

SIMカード、無線技術や周波数、そしてモバイルインターネット・・・業界統一の仕組みや規格を、業界各社が議論しながら作りあげる会議が、あちらこちらに存在します。
そんな会議に参加して、ドコモの技術や事業運営ルールを世界と合わせていく仕事、それが「国際標準化」。国際標準化業務はNTTドコモグループの中でもグローバルな仕事のひとつです。

■会議ってどんな様子なの?

会議は踊る!それでも進めなきゃ。

会議にはたくさんの国の担当者が参加しています。立場や業態も違う各国・各社の事情や文化、独自の実装やネットワークのオペレーションなど、さまざまな背景が含まれた技術的な提案が会議に持ち込まれます。それを全員で審議し、会議の参加者全員の合意(コンセンサス)が基本的には必要となるのが国際標準化です。

そもそもバラバラの各社の事情に基づく提案が、さらにとても個性的で経験や知識も豊富で、スキルも外交力も交渉力も高い世界各社の担当者たちによって議論されます。自社の仕様や技術を標準規格に盛り込みたいわけですから、当然会議はヒートアップすることが多いです。

一方でマンガの石川さんは、本職は3GPPという国際標準化会合で副議長としてこれらをまとめる大変なお仕事をされています。議長・副議長は独断的にならず、建設的かつ常に全員にフェアであることを意識して会議を進行しないといけません。(たとえ「クリスマスプレゼントにギフトカードは嫌だ!」と石川さん自身が思ったとしても、それを押し通すことは決してせずに)「何の課題を解決するか」そして「目的に沿うものか」についてコンセンサスを形成することを常に意識して対応します。

同じ課題について複数の提案があがったときは、その優劣をまず比較評価して議論します。それでも甲乙つけがたい方式が複数あるときは、最終的に投票に持ち込まれるケースもあります。

・・・さあ、子供たちのプレゼントはギフトカードになってしまうのか!


■標準化担当者の想い

結構ハードなお仕事、でもやりがいは無限大!

標準化担当者はエンジニアであると同時に、外交官でもあります。技術の話だけでなく、世界の情勢や経済、ビジネスモデルや事業戦略・知財戦略、未来にむけたビジョンなど、様々な知識や専門性が求められるというIntellectualな仕事でもあります。

また会議は世界中で持ち回りで開催されるため、たくさんの海外出張を時差ぼけと交渉のプレッシャーの中で乗り切る体力も必要です。これはかなりしんどい業務です。

ですがそんな環境でも世界中で多くの人がこの道を志し、一生の仕事にしています。これを支えるのは、「世界をひとつにして、さまざまな違いを乗り越えてつながりあい、世界80億人のくらしを支え変えていく、新しい技術を創る」という熱い思いなのです。(まるでサンタクロースが子どもたちのために、一生懸命プレゼントを配るように・・・)この揺るがない思いこそが、ドコモのDNAでもあり、ドコモが世界の国際標準化をリードしてきた原動力です。

今後も石川さんをはじめとしたドコモの国際標準化部隊は、世界を相手に活躍を続けます。
ぜひご期待ください!


画:うえはら まりこ
文:たなか いつま
協力:いしかわ ひろし