初めまして。ドコモ 6Gテック部の村上と申します。
移動通信業界の標準化の舞台である3GPP全体で6Gの検討が進んでおりますが、端末とネットワークの間のプロトコルを司るCT1でも6Gに関する議論が今回開始されました。2025/10/13~2025/10/17の間にフランスのソフィア・アンティポリスにて開催されたCT1#157会合の模様についてご紹介いたします。

CT1の役割は端末とコアネットワーク間のプロトコルを定義することにありますが、詳細は下記の記事にてご紹介しております。 ぜひ、ご確認ください。
3GPP CT 取組み紹介:2025年5月 ブラチスラバ会合とともに [1]
【5Gの仕様凍結に向けて】3GPP CT1#156会合を紹介! [2]
今回、何か特別な会合だったのか?
CT系の会合に携わる人たちにとって本会合は特別な会合でした。というのも、本会合よりRelease-20に向けた6Gに関する議論が開始されたからです。CT系の検討は下図のStage 3と記載された部分に相当します。(Release-20における5G改善の議論は2026の春以降で実施される予定です。)

各社よりCT1として「6Gではこのような機能・接続手順を実現するべき」と様々なStudy Item Description(SID※)やDiscussion Paper(DP)という形で計40件のインプットが寄せられ、とても活発な議論が行われました。CT1としては端末とネットワークの間の制御信号(Non Access Stratum)、SMS、Public Warning System(PWS:緊急情報配信)、Unified Access Control(UAC:アクセス種別による通信規制)など多くのトピックが取り扱われており、6Gに向けた検討が徐々に加速していきます。
今回は初回の議論ということもあり、意図的に「このSIDの検討を進めよう」といった合意は行わず、各社の提案と議論からCT1として何を行うべきか各自持ち帰り、今後の検討につなげることが主目的と感じました。NTTドコモとしても今回の会合で得た知見・情報をベースに次回会合に向けた検討を鋭意実施中です。
※SIDとは、検討事項であるStudy Itemを定義し、その技術検討を行う背景、目的・モチベーション、検討対象となるWork Taskなどが記載された文書です。

SAとの関係性
6Gに関する議論の中でよくコメントされた内容として「SA2との整合[4]はどのようにとる?」というものがありました。確かにSAは無線も含めたネットワーク全体の設計図を描く立場にありますので、彼らの設計図なしでは、CTとして十分な検討を行うことはできません。SAの検討完了からプロトコルの詳細検討を開始する場合、検討に充てられる期間が限られる可能性があるため(前述の3GPP検討予定の通り、1世代のReleaseには通常12~18ヶ月が割り当てられるところ、5Gの時は6ヶ月の検討期間しかなかったとのこと)、進め方の工夫が重要になります。例えば、SAの議論状況を注視し議論が安定した箇所の検討を先に進める、現行プロトコルの問題点を洗い出し6Gに向けてやるべき改善点の洗い出しを行うなどSAと並行して検討を進めることができる分野はありますので、CT1として何ができるかを継続的に検討して参ります。
6Gの議論だけでいいの?
もちろん、6Gに関する議論だけを行っていればよいわけではなく、2024年5月の検討開始から2026年3月の検討完了に向けて動いているRelease-19の議論も重要です。Release-20の6G議論で時間を使い過ぎることで現行Releaseへの影響を及ぼさないように今回の会合では50%以上の時間をRelease-19以前の議論に割り当てる方針がCT全体で決められており、Release-19の完了に向けた作業も着々と進んでおります。寄書の多いトピックとしては前回の会合報告[2]でも取り上げたAmbient IoTや衛星関連の検討はもちろんRelease-19としての改善機能、被災時の影響軽減などの検討が盛り込まれており、皆様がよりNWを便利に利用できるよう検討が進んでおります。
今後について
米国のダラスでの次回会合にて、本会合の6G初回議論を踏まえて各社がブラッシュアップした提案を持ち寄り、議論を継続する予定です。CTの活動も6Gに向けてますます活発になっていきますので、引き続き目が離せません!
参考文献
[1] 3GPP CT 取組み紹介:2025年5月 ブラチスラバ会合とともに
[2] 【5Gの仕様凍結に向けて】3GPP CT1#156会合を紹介!
[3] https://www.3gpp.org/ftp/tsg_CT/TSG_CT/CT_109_Beijing-2025-09/Docs/CP-252011.zip