NTTドコモR&Dの技術ブログです。

【WJ×WTP2025出展レポート第1弾】 未来を支える19の技術と注目ソリューション!

初めに

こんにちは!6Gテック部 企画戦略担当の谷口です。
ドコモの6Gテック部では、「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク2025(以下WJ×WTP2025)」で最新技術を展示しました。本記事では展示内容や注目ポイント、裏話などをご紹介します。

展示会概要

「WJ×WTP2025」は、2025年5月28日(水)から5月30日(金)まで東京ビッグサイトで開催された日本最大級の無線通信の専門展示会です。
5G/ローカル5G、Wi-Fi 7、IoT無線、ミリ波/テラヘルツ波、ワイヤレス給電など注目度の高いテクノロジーやソリューションが集結していました。
ドコモからは、「6Gの意義」、「6Gの世界観」、「その実現に欠かせない最新技術の研究開発」である全19もの取組みを自社ブース及びXGモバイル推進フォーラム(XGMF)ブースで展示しました。

図1,ドコモブース

展示内容紹介

「WJ×WTP2025」でのドコモ研究開発技術の展示内容についてもご紹介します。
今回はドコモが6Gを推進する意義毎に研究開発技術を4つにカテゴライズして展示していました。各カテゴリから注目の技術を厳選してお伝えします!

図2,6Gの意義

■カテゴリ①:「Network for AI」

【注目技術・コンセプト:6G Harmonized Intelligence プロジェクト】

▶概要
「6G Harmonized Intelligence プロジェクト」とは未来の通信技術6Gの実現に向けて、ドコモが掲げる「AIのためのネットワーク」という6Gのビジョンを具体化するための第一歩となるプロジェクトです。
AIやロボットに関するエキスパートとの緊密なコラボレーションを通じて、新たな世界観やコンセプト、ユースケース、サービスを見出すことをめざします。このプロジェクトは、以下の著名な専門家の皆さんと検討を進めています。

図3,専門家の皆さん

今回の展示会では、6G Harmonized Intelligence プロジェクトの初めての成果物となるロボットたちを展示しました。こちらは報道発表で詳しくご紹介していますので、そちらをご覧ください!

リンクはこちら👉 報道発表 : 「6G Harmonized Intelligence」プロジェクトで実現する未来社会


▶会場での反響・エピソード
今回はロボットといった動態展示を実施していたため、多くの来場者の方にブースに足を運んで興味を持っていただくことができました。
そして、ブースではSTP(SAKURATV-PRESS24)「一財」真咲映像財団公式 様に6G Harmonized Intelligence プロジェクトの取組みをインタビューして頂けましたので、そちらの内容もご覧ください。会場の熱気がひしひしと伝わってきます!

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■カテゴリ②:「Customer Experience」

【注目技術・コンセプト:サブテラヘルツ帯域チャネルサウンダ】

▶課題・背景
6Gでは100Gbpsを超える高速通信の実現に向けて、100~300GHzなどのサブテラヘルツ帯の利用が検討されています。このような新しい周波数帯の開拓には、適切なシステム設計のために電波の遅延時間や到来方向などといった電波の特性の解明が必要です。

▶概要
上記周波数帯の電波を解析するチャネルサウンダと呼ばれる装置ついて、ドコモはNTT、キーサイト・テクノロジーと共に技術検討を進めています。
今回の展示では、158GHz帯において12GHz幅の超広帯域信号を活用した装置をご紹介しました。この装置により、電波のパスごとにcmオーダーの高分解能な測定が可能となり、会場では実際に電波を発射して来場されたお客さまにより遮られた電波の強度や遅延時間などがリアルタイムに変動する様子をご紹介しました。
今後は、さまざまな解析結果からチャネルモデルを作成することで、6Gの広帯域通信が可能なシステムの効率的な設計に貢献します。

左図4,電波送信器 右図5,チャネルサウンダと受信した電波


▶会場での反響・エピソード
一般的には少しでも遮られると届かなくなると言われることが多いサブテラヘルツ帯において、実際の電波が手だけでなく複数人のお客さまに遮られた状況であっても受信装置では十分に解析可能な受信レベルであることに、電波の性質に対する驚きの声や、有識者の方々からは本装置の高い解析性能について称賛の声をいただきました。
また、6Gにおいてサブテラヘルツ帯が様々なユースケースにおいて活用可能になるのではという期待の声もいただくなど、多くの方に関心を持っていただけました


■カテゴリ③:「Connectivity Everywhere」

【注目技術・コンセプト:点群データを活用した5G/6Gシミュレータ】

▶課題・背景
5G/6Gの基地局を設置し産業現場で活用するためには,お客様が想定する通信環境におけるシステム性能を事前に把握できないと導入が難しい課題が存在しています。

▶概要
上記課題の解決のために、システム性能を可視化する5G/6Gシミュレータを研究開発しています。
点群データと呼ばれる三次元空間内の物体の情報を無数の点の集合で表現した三次元データを取得して、特定環境における電波の伝搬のシミュレーションを行うことで、建物内における電波の通信性能を評価することができます。これにより、多様な条件における5G/6Gの導入検討が容易になることが予想されます。

図6,通信性能のシミュレート結果

▶会場での反響・エピソード
今回の展示に対しては,一般的にはイメージをつかみにくい、通信システムの電波強度やスループット等の通信性能が可視化されリアルタイムで確認できるため、サービスイメージがつかみやすいといった,賞賛のお言葉をいただきました。 5G/6Gのイメージを身近に感じていただける機会になったと考えています。


■カテゴリ④:「Efficiency」

【注目技術・コンセプト:AI-native Air Interface(AI-AI)】

▶課題・背景
6Gでは、AI( Artificial Intelligence)/ML( Machine Learning)をより多くの無線インターフェースに活用していくことで、通信のさらなる効率化が期待されています。これを実現するための技術として、End-to-Endで無線インターフェースを最適化する“AI-native Air Interface(AI-AI)”と呼ばれるコンセプトが提唱されています。   AI-AIの実現をめざすことで、最終的にはユーザが触れる個々のアプリケーションに応じて、必要なデータを最適な方法で提供し、6G時代に向けた高度なUX(User eXperience)を提供できるようになると考えられます。

▶概要
AI-AIの実現に向けて、ドコモはNTT、Nokia、SKテレコムと共に、「深層学習を用いたパイロットレス伝送方式」の技術検討を進めています。
この方式では無線通信の信号処理の一部に深層学習を用いることで、5Gまでの通信規格では通常必要とされていたオーバーヘッド(パイロット信号)を削減し、通信速度を向上させることが可能です。私たちは6Gを見据えて、この技術の実証実験を国内で推進しており、展示では屋内伝送実験の結果を中心にご紹介しました。実験から、実際の環境においても、本技術が通信速度を向上できる有効的な手段である可能性を定量的に見出すことができました。
概要についてさらに知りたい方はYouTubeにアップロードしている動画をご覧ください!

www.youtube.com

▶会場での反響・エピソード
無線通信に関わる有識者からすると、これまでの常識が覆る通信方式であり、それが実際に実験を通して証明されていることに驚きと賞賛の声を多数いただきました。6G時代に向けた「新しさ」というものをリアルにお伝えすることができて、ご来場いただいた方々の6Gの期待感をより一層高められたように思えます。


基調講演

WJ×WTP2025の基調講演にて、当社6Gテック部の岩科IOWNエバンジェリストが講演を行いました。
テーマは”ドコモグループビジョンの実現に向けたドコモR&Dの取組み”でした。今回の展示技術なども含めたドコモR&Dの研究開発を進める技術群、そしてビジョンについて語り、多くの関係者から注目を集めました。

図7,基調講演の様子



終わりに

今回は「WJ×WTP2025」について、ドコモの最新技術をお伝えしました。

出展を通じて、大変ありがたいことに、無線通信の技術や可能性について、非常に多くの方にご紹介することができました。ブースでは多くの方との出会いがあり、現場ならではのリアルな反応やご意見を直接伺うことができたのは、私たちにとって大きな収穫です。
私たちは「通信って面白い!」をもっと多くの人に感じてもらいたいと思いながら日々活動しています。今回の展示をきっかけに、少しでも関心を持っていただけたなら嬉しいです。

WJ×WTP2025展示会ブログ第2弾として、今回の展示会を対応した新入社員がブログ執筆予定なので引き続きお楽しみに!